audioquestについて

季刊・オーディオアクセサリー197号より引用
Photo by 君嶋寛慶

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Audioquestとは?

AudioQuestが今あるのは、多くの人たちの知性、才能、そして懸命な努力のおかげです。
25年前私がAudioQuestを設立した時は、自分でケーブルを設計し端子をすべてハンダ付けし、自分のガレージから出荷していました。そして、融資はクレジットカードで受けていました。1980年以降状況は大きく変わりました。今では私はハンダ付けや圧着、スプールへの巻き付け、出荷作業などはあまりしていませんが、AudioQuestのカッパー(銅)やシルバーのケーブルの設計と規格化は今でも行っています。

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Company, History, and Origins: 会社、歴史、そして原点

AudioQuestの歴史を表すには「設立」より「進化」という言葉の方がふさわしいかもしれません。1980年のAudioQuestの創立は、ビル・ロウが1972年に始めたオーディオ機器販売のほんの一端でしかなかったのです。

 高校在学中および大学時代初期、ビルは最高のオーディオ・システムを作ろうと悪戦苦闘していました。彼はクラスメートのためにヒースキットやダイナキットのアンプ、プリアンプ、チューナーを何十台も作りました(これらは当時、世界的に有名なアメリカ製のオーディオ・キットであった;訳者注)。そして1台当たり10ドルか15ドルで売り、そのお金でレコードを買ったり中古機器の改良などを行ったりしていました。

 オレゴンの大学在学中、ビルは、他の学生にオーディオ機器を勧めるだけでなく、自分で機器を販売しようと考えました。そこで1972年、BSRのターンテーブルや日立のレシーバーなどを販売する完全予約制の小さなビジネスから始め、1974年にはリンソンデック、ラドフォード、セレッション、ヤマハ(ビルが北西部で最初の販売店であった)の製品を販売するようになりました。1975年には、彼の小さな店は全米最大のリンソンデック販売店になっていました。

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AudioQuestの製品開発ポリシー

AudioQuest のCEOであり、チーフデザイナーでもあるビル・ロウは、会社の基礎を製品の性能に置くことがいかに困難であるかを常に理解しつつも、それによって成功出来たことに特に喜びを感じています。なぜなら、このことはビルにとってビジネスを行う唯一の合理的な方法であり、音楽(およびすべての高性能なもの)に対する情熱と自らの生計を立てることを両立させる唯一の方法であったからです。

AudioQuest の全ての製品には、当然のことながら “何ゆえに、高性能であるのか” という技術的な裏づけが存在します(勿論、ただ単に「聞いて頂く、或いは見て頂く」だけでも十分お分かり頂けるのですが)。そこには、「開示不可能なNASA の技術」であるとか「極秘軍事技術の転用などという文言は一切登場しません。その殆どが普遍的な科学知識で理解可能なもので成り立っているのです。

ビルは、また、こう語ります「設計技術者の能力は予算が少ない時にこそ判断されると私は思うのです。高価な製品は、あらゆる製品に共通した基本的な理解があればできます。正しく設計されたAudioQuest のエントリー製品は、低価格なものであっても大きな改善が得られます。そう信じていなければ私はこのような製品を作りません。」初めてのお客様には、特約店で、最も安価なインターコネクト・ケーブルや HDMI ケーブルを是非お試し頂きたいのです。ビルのこの発言が、決して誇張ではないことを実感して頂けると信じています。

 

進化を続ける4つの技術的要素

  • 殆どのケーブルメーカーで広く使用されている、撚り(より)線の相互作用は、ケーブルにおける歪みの最大の原因ですが、また、最も簡単に防げるものです。裸の撚り線同士の酸化した接触点を電流が通過する時は、信号が乱れてしまいます。さらに、様々な撚り線の磁界は常に相互に作用するため、乱れ(汚れ)を引き起こし、また、撚り線の間の接触圧を絶えず変調させてしまうのです。AudioQuest の全ての製品に使用されているソリッド・コア(単線状)導体は、こうした問題点を完全に解消できるのです。

  • 導体材料の品質によって、音には著しい違いが出てきます。しかし、材料が最高であっても、設計が悪いと良い音にはなりません。導体の材料の純度が低いと、撚り線の相互作用が起こすのと同じような不快な音になります。最高の材料は巨大結晶構造にかっており、結晶が良い状態で接触しています。導電経路の品質は、導体の表面によって決まります。表面は、導体内部の電流密度が最大の領域と、外部の磁界密度の最大の領域が交じり合います。導体の表面は、すべてのエネルギー包結線のガイドレールのようなものであるのです。

  • 金属導体はすべて非対称の魚の鱗のような結晶構造を持っています。
    高い周波数(RF)は表皮効果の影響を受けるため、導体の外表面層上を移動します。この導体外表面層を伝わる高周波は表皮効果を受け、その結果、多方向で RFインピーダンスは増加します。誘導され る RFノイズは寄生であるため抵抗が最も少ない経路をたどります。 AudioQuestでは、すべての導体をテストし、誘導ノイズを排出する方向に使用するようにしています。また最も音に影響のあるところから遠ざける方向に使用してケーブルとシステムのパフォーマンスを最適化します。

  • 不要な高周波数(RF)ノイズは、常にケーブルに拾われ、誘導されています。このノイズは、最終的にオーディオ/ ビデオ信号の重要な部分をマスキングし、歪ませます。この歪みを引き起こす(寄生)RF 信号が、歴史上かつてないほど多く存在する今日、私たちはより多くのノイズに囲まれています。そして今、ノイズ対策技術の幅が広がっています。

    - ZERO 技術(特性インビーダンスを持たない技術)は、可能な限り広い周波数範囲にわたってウルトラリニアなノイズ分散を適用します。また、AC電源やスピーカー、パワーアンプ用途では、圧縮されない週渡電流の伝達を可能にします。
    - 高周波 / ノイズディシベーション(消散)技術は、高周波帯域のノイズをキャンセルすることにより、回路の誤動作を最小限に抑えます。
    - DBS(誘電体バイアス.システム)が進化し、高周波帯域のノイズ消去システムが搭載され誘電体歪みと誘導ノイズをさらに低減します。

世界中で愛される AudioQuest

アメリカで生まれた AudioQuest は、2025 年に創業45年を迎え、今や世界74 か国で愛される屈指のケーブルメーカーに成長 しました。AudioQuest のケーブルはオーディオファイルの耳だけではなく、音のプロフェッショナルの耳をも満足させています。

  • Photo by 君嶋寛慶

    「私が現地を訪れた1998年には既にAudioQuest のケーブルが使われていました。今も変わらずに使い続けていることはAudioQuestに対する信頼の証明になるでしょう」

    owers & Wilkins
    Southwater Research & Engineering
    ディーアンドエムホールディングス
    シニアサウンドマスター 澤田龍一

  • Photo by 君嶋寛慶

    「ニュートラルで癖がないサウンドで、最初にトライするにはとても良いケーブルです。製品開発中に音の評価をする際にも、機器の本質を見極めることができます」

    マランツ試聴室
    サウンドマスター 尾形好宣

  • Photo by 君嶋寛慶

    「音のバランスを考慮して、気に入ったものだけを使っています。AudioQuest のケーブルは、グレードや アナログ、HDMI、デジタル等タイプが異なっても、同じ世界観を持っています。具体的にはフォーカス感や奥行き表現が細密なところが共通であるところが気に入っています」

    デノン試聴室
    サウンドマスター 山内慎一

AudioQuestが使用する導体リスト

PSS(パーフェクト・サーフェス・シルバー)
パーフェクト・サーフェス・テクノロジーを非常に純度の高い銀に適用しました。AudioQuest がトップエンドのモデルで使用する最高の導体です。

PSC+(パーフェクト・サーフェス・カッパー・プラス)
PSC より純度の高いバージョンで、銅を使用した導体としては、得られるほとんど最高のものです。

PSC(パーフフェクト・サーフェス・カッパー)
この銅はパーフェクトに近い表面構造を持っています。電流密度と、全周波数での磁束密度が 100% あるのは導体の表面だけなので、表面が導体全体の音質を決定します。

LGC(ロング・グレイン・カッパー)
OFHC(無酸素高伝導銅)の品質には様々なバリエーションがあります。それは歪み特性ではなく、伝導率によって規定されているためです。歪みの少ないOFHCの特徴は非常に長い結晶構造です。このためロング・グレイン・カッパーと名付けられています。

SP-LGC(シルバー・プレイテッド・ロング・グレイン・カッパー)
高周波(ビデオ、RF、デジタル)では、ほとんどすべての電流が導体の表面を流れるので、表面の材料と仕上げは導体の特性を決定付けるものとなります。AudioQuest が選択した SP-LGC は、最も重要な表面にお金をかけることによって最高の 性能を発揮します。さらに AudioQuest では、ケーブルのグレードが上がるに従い、シルバー・プレート層を厚くすることによって、より高いパフォーマンスが得られるようにしています。

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AudioQuest が使用する各種のレアメタルは単に純度にとどまらず、方向性、粒子サイズ、表面の平滑性を徹底して追及したものに限定されます。

 

ノイズ・ディシペーション(消散)・システム

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高周波(RF)によるノイズは、良質の音にとっては最大の敵です。コンピュータや携帯電話などの高周波を発する装置が広く普及したため、現在の環境は以前にも増して高周波に汚染されています。従来、高周波ノイズは、金属メッシュやアルミホイルからなるシールド層を用いて、インターコネクト・ケーブルのアース側に送られていました。このシールド層は不必要な高周波ノイズをキャッチするアンテナの機能を果たします。
このアースへの高周波ノイズ「放出」により、実はインターコネクト・ケーブルに接続された機器の、本来0ボルトでなければならない接地基準が変調されます。これにより音楽信号も変調され、歪みが生じます。例えば、電気的アースを「地球」だと考えてみてください。高周波ノイズを地面に流すと、「地球」に様々な規模の激しい活動、いわゆる地震が生じます。この地震が地球地面にあるすべての静止(または移動性)物体に大きな波乱を引き起こします。電気的に考えると、信号はアースに乗っています。この時アースが変調すれば音楽信号も変調されるのです。ノイズ-ディシペーション(消散)システムによりこの変調の影響を大幅に抑えることができます。では、どのようにして抑えるのでしょうか? それは様々な「シールド戦略」を組み合わせて、高周波ノイズがアースに放出される前に高周波ノイズを削減するのです。金属による2重シールド層と1層からなる炭素入り合成繊維(カーボンローデッドPVC)を組み合わせることで、ほとんどの高周波干渉(RFI)が機器の接地面に達しないようにします。炭素入り合成繊維には、この高周波ノイズの一部を熱に変えて、ノイズを非常に効果的に「消散」させる機能があります。金属は受動的に使用すれば、入ってくる高周波を消散させ、削減させるもう1つの要素として利用できます。
どのような高周波であっても、(アースに取り付けられた内部ホイル経由で)アースに放出される前に、敵であるこの高周波を大幅に削減することができます。その結果、信号の変調を劇的に抑え、歪みのない高品質の音を出すことができるのです。

 

コールド・ウェルド(冷間溶接)システム

コネクターに単一または複数の導体を取り付ける上で最も難しい問題は、導体とコネクターの間の電気的・機械的な接続をいかにして完全に行うかということです。ケーブルとRCAまたはXLRプラグとの接続方法には一般的に 3 種類あります。ハンダ付けは接続方法としては最も一般的なものです(実際にはハンダ付けは皆同じではありませんが)。スポット溶接は最も優れているとされるハンダ付けよりさらに優れています。とはいえ、ハンダ付けでは異なる金属の下層ができるため歪みや反響が起こりますが、これは溶接(スポット溶接)でも同じです。ケーブルとプラグの境界に合金を作れば、ハンダ付けよりははるかに優れたものになりますが、それでも不必要な中間層ができてしまいます。ケーブルとプラグの品質について詳しく研究した結果、インターコネクト・ケーブルに関しても、コールド・ウェルド(冷間溶接)システムを検討してみようと思いました。AudioQuestの新しいコールド・ウェルド・システムは、導体の構造的な完全性をそのまま保てる優れた接続方法によりこの問題を解決しました。コールド・ウェルド・システムとは、接触点での高圧と銅または銀入りペーストを組み合わせた方法です(銀製導体は銀ペーストを、銅製導体は銅ペーストを使用します)。圧力を調整すれば、熱を使わずに導体とコネクターを機械的に「一体化」することができます。金属入りベーストは酸化銅や硫化銀抑制剤として機能し、非常に効果的な接触強化剤でもあります。
AudioQuestのコールド・ウェルド・システムなら実質的に完全な接続が可能です。最新アナログ・インターコネクト・ケーブルを含め全てが、このコールド・ウェルド・システムを用いています。コールド・ウェルド・システムによる接続とハンダ付けやスポット溶接による接続を聞き比べてみると、その違いがはっきりと分かります。現在開発中のTOPエンドに位置するインターコネクト用プラグが出るまでは、本当の意味で適切な圧着またはプレス・システムによるRCAやXLRはありませんでした。スポット溶接が最高の方法だと考えられていました。この新しいプラグの圧倒的な性能を目の当たりにして、他のプラグを改良し、できるだけそのギャップを埋める方法を考案することになったのです。私達は常にコールド・ウェルド・システムを使いたいと思っていました。しかしながら、これまで、本当の意味でコールド・ウェルド・システムを活かせるプラグとツールはありませんでした。先に説明した金属ペーストシステムが、プラグと導体の接続方法としてAudioQuestがリファレンス機に搭載するシステムとなったのです。では、スピーカーケーブルはどうでしょうか? ご心配なく。AudioQuestと言えば、数十年にわたりコールド・ウェルド・システムを採用したスピーカーケーブルで有名です。全てのスピーカーケーブルの端末処理は、このコールド・ウェルド・システムによって行われています。

方向性表記について

導体の線材を製造する過程で長く引き延ばす際に、金属の粒子が一定の方向に向き、線材に方向性が備わります。AudioQuestのオーディオ・ビデオ用に使用されるすべてのケーブルは、方向性がテストされており、音声信号がより良く流れる方向をプラグに記載しています。HDMIケーブルは双方向に信号が流れるため、音声信号を再生する方向に合わせて表記通り接続することで最高のサウンドパフォーマンスを得ることが出来ます。