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2014年05月16日

日本でたった100ペアー限定発売の"805 Diamond Maserati Edition “の全貌に迫る

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B&Wからは公式には殆ど何も明らかにされていない"805 Diamond Maserati Edition”のテクニカル・ディテール。そのディテールに迫るべく、定番の805Series Diamondと一体何がどう違うのかを、マランツの音質マネージャ―でありB&Wの音質評価にも長年係ってきた澤田龍一にインタビュー。仕上げ、パーツ、音質、使いこなし等、あらゆる角度から語られたディテールを記載。定番の805 Series Diamondと同様のDNAを持ちながら、異なる次元の蠱惑的なサウンドを獲得した"805 Diamond Maserati Edition”の魅力の全てを徹底解剖します

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『概要』

今回発売したB&W 805 Diamond Maserati Editionは、外観がMaseratiデザインに変わって専用のスタンドを用意したモデルです。
また、B&W側からは音質に関しては、基本的には変わらないというオフィシャルコメントです。
スピーカー本体については、ドライバーユニットとクロスオーバーのアッセンブリーは同じで、オリジナルモデルとの違いはキャビネットのみです。

 


従って測定結果はオリジナルモデルと、周波数特性、インピーダンス特性、歪特性など何ら変わるところはありませんでした。
しかし、オリジナルの805 Series Diamondから4年ぶりに今回の805 Diamond Maserati Editionを測定してみて、
あらためて、2ウェイ・ブックシェルフスピーカーとして、ほぼパーフェクトな特性であると思いました。
周波数特性がフラットであり、低域のバスレフチューニングもインピーダンスの2つの山が相似の見事に教科書的なチューニングです。
また銅キャップ付き低歪磁気回路を搭載した低音ドライブユニットの見本のような高調波歪特性です。
ネットワークは既存モデルと同じくシンプルな回路で、それはインピーダンス特性に表れています。
一次フィルターによる直列部品のみの構成なので、インピーダンスの低下や急激な位相回転はありません。
電気的にはアンプにとってイージードライブな特性です。
トゥイーターに関しても、ダイヤフラムに最良のダイヤモンド素材を使用して、高域共振点が可聴限界の遥か上に追いやられ、可聴帯域内での高域共振による歪の増加が全くみられません。

『サウンドの違い』

では同じ主要部品を使用していてオリジナルとの音の違いはあるのか?

スピーカー本体の音質の差はキャビネットの響きの違いです。
各ユニットから放射される直接音だけではなく、キャビネットが振動して空間に放射する音があります。
これがアンビエンス的に付加されます。
既存の805Series Diamondの音は正確かつストイックな音であり、ある種“清潔な音”だと思います。
かたや805 Diamond Maserati Editionは響きが豊かであり、イタリア的享楽さを感じさせ、
おおらかな印象で音楽を積極的に聴かせる要素を持っています。
既存の805 Series Diamondと805 Diamond Maserati Editionを例えると、英国スピーカーとイタリアのスピーカーの違いのように思えるのですが、
音の再現性、音場感、ダイナミックレンジ、分解能などはほとんど変わりません。
ただし、響きを含めた空間表現は既存の805Series Diamondに比べてより享楽的です。これは今までの805Series Diamondにはなかったものです。
既存の805Series Diamondのセッティングはしっかりしたスタンドに載せて、正三角形の頂点で試聴するのが望ましいし、またそうしたくなるものですが、
805 Diamond Maserati Editionは、セッティングを既存モデルほどには追い込まなくとも、リスニングポジションが多少オフセンターであっても、
響きを含めた空間再現力がより豊かなので、それなりに楽しむことができます。
むしろ多少ラフなセッティングで、ラグジュアリーなソファにハマって聴く方が似合っていると思います。
それでも、より音を突き詰めて聴きにいけば、正確な3次元的空間表現、音のフォーカス、ディテールの再現性を聴き取ることができます。
既存の805Series Diamondは、演奏の様子をレコーディングルームのガラス越しに見ているようなものですが、
805 Series Maserati Editionは、更に上質な響きを伴った豊かな空間のサウンドで、演奏者と同じ部屋で聴いているような印象です。

    


『805 Series Maserati Editionのパーツ』


それでは805 Series Maserati Editionのパーツの細部を説明しましょう。

オリジナルと同じ製法でマトリクス補強を内蔵し、曲面積層合板を組み上げたキャビネットの、
バッフルとトップ、ボトムの部分を削り込み、BMC系のインパクト成形のサブバッフルを組み込んだものです。既存の805Series Diamondでは、このBMC素材は使用されていません。
BMCは高比重素材で、インパクト成形によって分子の結合が密では無い為、適度な内部損失があり、丈夫で鳴きの少ない構造です。
それ故に音響材料として好適で、昔からよく使われてきた素材でもあります。
この素材は、B&Wのコンパクト2ウェイ・モニターのPM1のフロントバッフルの樹脂素材と同じです。
これに薄いフォームクッションを介して、イタリア高級家具メーカー、ポルトローナ・フラウ製の本革を貼っています。 

    


従って異種材料による振動モードの違いと、接着層によるダンピング、革貼りの表面の差が響きの違いになっています。
既存の805Series Diamondの木目仕様、ハイグロス仕様共に塗装処理の違いはあっても、キャビネットのフロント、トップから響きが空間に放射されます。
それに対して805 Diamond Maserati Editionはフロント、トップに本革を貼っている為、その表面からの放射はかなり少ない。
ただし、キャビネットの多層ラッカー仕上げの側面、背面から発する響きの放射に関しては、従来のハイグロス仕上げと同様に艶やかです。
振動板から直接放射される音に対して、影響が大きなトップ、フロントバッフル面からの音放射が抑えられているということです。
また細部のパーツではありますが、ミット/バスドライバーに取り付けられているエスカッションリングのネジは、
トルクスのステンレスビス(非磁性)で、既存805 Series Diamondは六角穴の鉄製。
これも僅かですがスピーカー本体のサウンドに影響します。

    

『専用スタンドについて』

加えて、専用スタンドがトータルの音の響きに大きく影響しています。
今回は805 Diamond Maserati Edition専用に設計されたスタンドです。


2本の中空のアルミパイプにはダンピングのために何かを充填するようにマニュアルには記されています。
充填する材料とその量によって響きが変わることは明らかです。
昔からジルコンサンドや樹脂粒、鉛粒、これらと砂の組み合わせなど、いろいろな材料が使われていました。
お米なんていうのもありましたっけ。
最も手頃なのは珪砂を充填することで、入手が容易で安価です。
重要なのは、よく乾いた珪砂を選ぶことと、あまりギリギリまで入れないことです。
天板の取り付けネジが入る部分にまで入れると珪砂がネジ溝に噛み込んで、
ネジとネジ溝にダメージを与える恐れがあります。
また、目いっぱい詰めると響きをダンプし過ぎるので、若干の隙間を残しておくのがよいでしょう。
詰めている最中にスタンド自体を揺すったり、叩くことで充填材の目がつまり密度が高まります。
目安は9分くらいに収めることです。
そうすればダンピングが効いた重心の下がったサウンドになります。
音のディールは暴れず、しっかりと表現されるでしょう。

私たちが販売している充填剤で推奨できるものがあります。
イタリアのラックメーカーMUSIC TOOLS社のFILL-INと呼ばれる、高比重でダンピングのきいたコンパウンド樹脂粒です。
7kg1箱で¥9,000税抜価格。(805 Diamond Maserati Editionに充填する量は約3.5kg/ペアー)
これを充填することで珪砂とは少し違い、中音域の響きが多く有機的になり、より805 Diamond Maserati Editionの特徴を引き立たせることができます。

女性ボーカルなどではボディーの肉厚感などがよく表現されます。
それに対して珪砂を充填したものは、よりクールで締ったサウンドです。

『設置のノウハウ』

設置時に注意すべき点は、スピーカーの底面が厳密には完全にフラットではないということです。
既存の805 Series Diamondは底板がキャビネットと一体に組み上げられていますが、805 Diamond Maserati Editionは別ピースの板をはめ込んでいます。

また、スタンドとの連結用のナットが2個埋め込まれており、中央に金属のネームプレートもあります。
このような条件では、キャビネット外周でスタンドと接触するようにスペーサーを配するのが良いと思います。
スペーサーもいろいろな材質があるので試してみると良いでしょう。(ジェル系、ソフト素材、ハード素材、フェルトetc)
珪砂を充填したスタンドで、小さなソルボセインのスペーサーを3点はさんだ状態での音の印象は、
当社で扱っている米サウンドアンカー社のスタンド(SDA805N24)と比べると、
隅々まで見通せる繊細かつ潔癖なモニターサウンドのサウンドアンカーに対して、響きの豊かなイタリア的享楽さを感じさせるものでしょうか。


スタンドと本体は転倒防止のため前後2点でネジ止め連結が出来ますが、
底面が完全にフラットではないのと、せっかくのネームプレートが傷つくのを防ぐため、
3か所にスペーサーを挟み込んでネジ止めするのをお勧めします。
ただ、連結固定すると、より音の一体感が増すのでが、音の響きとしては抑制された感じになるので、
せっかくバッフル板とボディーで独特の響きを形成しているものを抑えるようなセッティングは避け、
スペーサーをはさんでネジ止めはせず、より開放した響きを楽しみたいですね。

『コンクルージョン』

最後に、世界限定500ペアーのうち、日本国内で100ペアーを販売します。
価格はペアーで150万円(税抜価格/スタンド付属)。
これは現行モデルに対して割高感があると思われるかもしれませんが、インパクト成形のBMCのサブバッフルの金型を起こして、
キャビネットを組み上げてからトップ、フロントバッフル面を削り込み、
イタリアのポルトローナ・フラウ製の皮貼りのバッフル板を特別に製作しはめ込みます。
これらの行程は、英国の本社工場で行われます。
ボディーとスタンドの仕上げはマセラティ指定の色と柄であり、
これもまたイタリアのALPI社で仕上げられた天然木(サトウカエデ)のスライスの突板で、
バーズアイ・メープル材の木目と色を、スタンドと合わせて英国本社工場で製作されます。
そして出荷時は木目の色柄を合わる為、スタンドと本体は同じダブルカートンに同梱されます。
既存の805 Series Diamondと全く異なるこのような特別な工程を500ペアーという少量の生産規模で行うため「割高感」は致し方ないことだと思います。

イギリスとイタリアを代表するハイブランドのダブルネームを持ち、魅力的な仕上げに加え、特別な音質を獲得した商品が100ペア-しか入手可能でないことを考えると、オーディオにおける本当に貴重なコレクターズ・アイテムが生まれたのだなと思います。

 

805 Maserati Edition 展示試聴可能店

大阪屋

㈱仙台のだや

のだや郡山店

オーディオスクエアー越谷店

オーディオスクエアー幕張新都心店

オーディオスクエアートレッサ横浜店

オーディオスクエアー藤沢店

テレオン110

ダイナミックオーディオ5555店

ダイナミックオーディオ新宿店

ディスクユニオン御茶ノ水店

ディスクユニオン吉祥寺店

アバック秋葉原本店

ヨドバシカメラ 秋葉原店

ヨドバシカメラ 新宿西口店

ビックカメラ 有楽町店

ビックカメラ 新宿西口店

For Music

第一無線

オタイオーディオ

逸品館

エディオン広島本店

(2014年6月6日現在)

 

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