生体模倣

夢中になれるセミオープン型ヘッドフォン

NightHawkのスピーカー・エンクロージャー、つまりイヤーカップにオープンバック設計を採用し、広がりのある3次元のサウンドステージを実現しました。オクターブの上限・下限に及ぶ自然なダイナミクスと滑らかでまとまりのある演奏をお楽しみいただけます。

以前は、他のオープンバック・ヘッドフォン同様、ヘッドフォンの精密な内部パーツを保護するため開口部にグリルを施す必要がありました。穴の開いた金属やプラスチック、ワイヤークロスまたはその他の実際に平面的な素材を用いて対応することがほとんどでした。ヘッドフォンの内部パーツを保護するという意味ではある程度の機能を果たしていましたが、そのような素材はヘッドフォンのパフォーマンスを損ねることがあり、ドライバーに音が反響し定在波や共鳴カラレーションを発生させてしまいます。

では、有害な定在波をうまく防止するため、例えばこのグリルが3次元で、ランダムに音を散乱(拡散)することが出来るとしたらどうなるのでしょうか。


拡散が深い没頭に誘う

音響における拡散とは、歪みの少ないより美しい音楽を、という目的のため、音をより広く均等に伝播させる効果を言います。ここで明確にしなければならないのは、ヘッドフォンによる音楽リスニング体験は、音楽演奏を生で鑑賞する体験とは同じではないということです。アート、科学、テクノロジー、マジックなど、私たちのありとあらゆるツールや崇敬物を用いて本物そっくりな音楽を作ろうとも、耳や脳を欺くことはできないのが現状です。しかし、拡散を利用するこができます。拡散を適切に用いると、音響反射の到達時間を制御できるため、不快な反響を止め、疎ましいカラレーションを制御し、耳と脳が求める音に近づけることができます。壮大な音楽イベントにどっぷりと浸るセンセーションを体験してください。

一般的なヘッドフォングリルの設計:一部の音が通過し、それ以外はドライバーに跳ね返ります。定在波による共鳴が起こる可能性があります(反射音を赤で表示)。

NightHawkのダイヤモンド立方体の格子グリル:音が通過や反響により拡散され、定在波の発生を防いでいます。また、グリルの複雑な内部形状内を移動するとき、ほんの少しですがここでも音が分散されます(拡散音を赤で表示)。


生体模倣により拡散問題を解決

AudioQuestは、自然界の美しさ、優雅さそして創造力から着想を得ることが多くあります。称賛の気持ちを最も体現するために真似をするのであれば、自然以外にこれほどまでインスピレーションを抱かせてくれるものはありません。当社は生体模倣を積極的に取り入れています。生体模倣とは、人間の問題を解決するため、自然界の構造や動き、要素を真似することを言います。

拡散問題を解決するため、NightHawkにはチョウの羽のような構造をモチーフにした生体模倣型グリル、つまり光を拡散して玉虫色に輝く魅力的なダイヤモンド立方体の格子細工を採用しました。NightHawkの大部分を占める当社のグリルは、織り合わされた格子が折り重なる構造で、格子の外部に向けて各層の厚みが増していきます。

このような複雑な設計によって音の伝播制御の精度が上がり、音楽への悪影響を最小限に抑えることができます。当社グリルの最深部にある格子は、表面の格子と比べると幅が細い上に間隔も広く取られていて、内部拡散を助長する仕組みになっています。音は比較的簡単にグリル内に入るものの、そこから抜け出すのが非常に困難な仕様になっています。そのため、一般的なオープンバック型ヘッドフォンと比べると、NightHawkは音漏れ防止に優れています。リスナーとその周りの人々両方に嬉しい技術です。

さらに、当社製格子の音響迷路に音が入り込むと、音の伝播が止まります。拡散を向上させ反響を減らすことが可能になり、音楽を歪める共鳴を取り除くことが出来るようになりました。まさにチョウの力を借りて実現することができた技術です。自然に勝るものはありません。


3Dプリントによる生体模倣の実現

上に述べたとおり、チョウの羽の色は、実際の色素ではなく、極めて優れた微細構造がおりなす交互に重なる層が生み出す光の拡散によるものです。NightHawkの音拡散グリルは複雑なダイヤモンド立方体の格子細工を採用していますが、機械や型ではその複雑性を再現することができず、今日の高度な3Dプリントのみにより製造することができます。当社開発過程の最初の時点でNightHawkのグリルを3Dプリントで作成することを決めていたため、これまで不可能と考えていた模様や形を自由に模索することができました。この経験は自由で、得るものが多く、非常に満足度の高いものでした。3Dプリントの協力会社であるSculpteo社と、信頼できるEOS P395プリンターにより、構造的に健全な、見るからに美しい、接続するデバイスの目的と趣に見合う部品を確実かつコンスタントに大量生産することができます。