音響特性

スピーカー設計に発想を得て、ヘッドフォン体験を称賛する

NightHawkとNightOwlに用いられている設計要素の多くは、今日の最も革新的なスピーカーに搭載されているものばかりですが、これまでヘッドフォンに用いられることはありませんでした。

とはいえ、当社は室内でスピーカーから音楽を聴くような音を再現しようとしているのではありません。当社は、非常に親密で、ともすると超越的なヘッドフォンリスニング体験の実現に情熱を注いでいます。

ハイエンドなヘッドフォンは、体験によりリスナーを虜にするものであるべきです。典型的な部屋に設置したスピーカーのサウンドと比べると、ヘッドフォンは劇的に低いノイズレベルを提供することができるため、これまでにないディテールと明瞭さを届け、大幅に歪みを低減し、非常にはっきりとした存在感ある雰囲気の頭出しを特徴とするイメージングを提供することができます。

それにより、心に訴えかけ本気で没入できるリスニング体験が生まれます。


リキッドウッド製イヤーカップ・エンクロージャー

リキッドウッドは、多くのヘッドフォンに用いられているプラスチックやその他の素材に比べると、はるかに優れた音響特性を持った素材です。美しいスピーカーキャビネットの内部補強と同じく、当社のリキッドウッド製高機能イヤーキャップ・エンクロージャーには、構造をしっかりと維持し、不快な共鳴や振動を最小限に抑える支持梁が組み込まれました。分解能が向上し自然なディテールが得られ、サウンド全体がよりクリーンでクリアになりました。

不要な共鳴をさらに減らすため、エンクロージャーの内側にはエラストマー被覆を入念に施し、さらにウールとポリエステルを意図的に混ぜた制振素材を使用することで、抜群に滑らかで自然な周波数レスポンスを実現しました。

何よりも、リキッドウッドは多くのヘッドフォンに用いられているプラスチックやその他の素材に比べると、はるかに優れた音楽特性を持っています。当社ヘッドフォンの特徴である、鮮明さと温かさを融合した音に欠かせない素材です。


音に没頭できるセミオープン型ヘッドフォン

NightHawkとNightHawk Carbonのスピーカー・エンクロージャー、つまりイヤーカップにオープンバック設計を採用し、広がりのある3次元のサウンドステージを実現しました。オクターブの上限・下限に及ぶ自然なダイナミクスと滑らかでまとまりのある演奏をお楽しみいただけます。

以前は、他のオープンバック・ヘッドフォン同様、ヘッドフォンの精密な内部パーツを保護するため開口部にグリルを施す必要がありました。穴の開いた金属やプラスチック、ワイヤークロスまたはその他の実際に平面的な素材を用いて対応することがほとんどでした。ヘッドフォンの内部パーツを保護するという意味ではある程度の機能を果たしていましたが、そのような素材はヘッドフォンのパフォーマンスを損ねることがあり、ドライバーに音が反響し定在波や共鳴カラーレーションを発生させてしまいます。

では、有害な定在波をうまく防止するため、例えばこのグリルが3次元で、ランダムに音を散乱(拡散)することが出来るとしたらどうなるのでしょうか。


クローズドバック設計

NightOwlのイヤーカップの中央円形部分に裏にあるベントは、各ドームの外周を通って隠れたエアフロー抵抗ポートへと繋がっています。そのため、NightOwlは他の密封型のヘッドフォンとは異なり圧力上昇を効率的に抑えるよう設計されており、ドライバー内で空気が自由に流れ、誘発が起きた場合はすぐにリンギング、振動、共鳴のない安静状態に戻すことができます。


構造の一体性

当社はヘッドフォンを設計するにあたり、イヤーカップ・エンクロージャーとバッフルを最適化するために有限要素解析(FEA)ソフトウェアを使用しました。FEAとは、構想・開発段階にある製品が実世界の物理的な力の下でどのように反応するのかをコンピューターを用いて予想する方法です。FEAにより、製品を構成部品レベルまで実質的に細分化し、その部品が個別に、そして何よりも一体化したときにどのように作用するのかを数学的モデルを用いて見極めることができます。実に素晴らしい方法です。FEAにより、ヘッドフォンの部品が個別に、そして何よりも一体化したときにどのように作用するのかを見極めることができます。

当社のリキッドウッド製イヤーカップを切断したり、さいの目状にしたり、外側を剥ぐなどしてその形状を徹底的に調べてみると、継続する不快な定在波を解決すべく設計された、常に変化する複合した曲率を持つことがお分かりいただけます。今後特許申請を行う予定です。(FEAのおかげです。)

当社はFEAを用いることで、リキッドウッド製イヤーカップ・エンクロージャー内のやっかいな固有モードや共鳴モードの正確な周波数、振幅、位置の測定に成功しました。そのような共鳴モードを特定して見つけ出した後は、それらを制御するわくわくする段階へと進みます。また、当社はFEAを用いて、サウンドに最も良い影響を与えられるよう効果を十分に配慮した位置に支持リブを配置しました。

もちろん、イヤーカップ・エンクロージャーにリブを付けると、ヘッドフォン全体の重量が増えることになります。上にも述べたように、当社のヘッドフォンはパフォーマンスを最大化しつつも無駄を減らし余分なものを最小限に抑えるよう設計されています。ヘッドフォンにとって、パフォーマンスの要素の一部は快適性にあると言え、快適性の要素の一部は重量にあると言えます。そのため、当社は言うまでもなく、急いでヘッドフォンの重量を増やそうとは思いませんでした。しかし、ここでもFEAを用いて支持リブを知的に配置したところ、実際に使用するリブの数を減らすことができ、その結果、構造の一体性を最適化し、共鳴モードを制御し、余分なものを最小限に抑えることに成功しました。


音に浸ることができるよう傾けたドライバー

AudioQuestのヘッドフォンは、正確で安定したイメージングができる、広がりのあるサウンドステージを生み出すよう設計されています。無造作に部屋に設置されたスピーカーがサウンドステージのサイズ、センターフィル、正確なイメージングを最適に組み合わせられないのと同様に、ドライブユニットの位置に注意が払われていないヘッドフォンでは、リスナーを音楽に完全に没頭させることができません。

高性能スピーカーセットの配置に多大な時間を費やしたことがある人には分かることですが、ほんの少し調整するだけで音が大きく変わるのです。

当社のヘッドフォンを、正確で安定したイメージングができる、広がりのあるサウンドステージを提供できるものに最適化すべく、特にドライバーの角度設定に注意を払いました。その結果、魅惑的かつ心地良い、とてつもなく夢中になれるリスニング体験を実現しました。


振動制御

ノイズとは間違って紛れ込んだ振動エネルギーで、私たちと音楽との関係を損ねるものです。音響の世界において、「ノイズ」という言葉は、テープヒスやレコードの傷が作る不快なキーキー音を説明する際によく用いられます。しかしこれらは本当のノイズではありません。もっと正確に言うと、これらは本来正しく再生された音であるものの、私たちには不快であり耳にしたくない音を指します。当社が是が非でも消し去りたいと願っているノイズは、直接聞こえないタイプのノイズです。間違って紛れ込んだ振動エネルギーで意味を持たないもの、個別の音に変換できないもの、そして私たちと音楽との関係をいや応なく損ねるものを指します。

AudioQuestのヘッドフォンは、数々の方法を用いて有害な振動エネルギーに対処しています。洗練されたサスペンション装置がクロストーク歪みを最小化し、イヤーカップの内部表面に施されたエラストマーコーティングが共鳴を制御し、特別な接着剤を製品全体に慎重に使用することでノイズを抑制し接着性を強化しています。

このように、細部にまで行き届いた設計とエンジニアリングにより、振動による歪みは知的に、完全にかつ系統的に最小化され、鮮やかな音楽を再生できるようになりました。

リキッドウッドの再考

先に述べたとおり、当社ヘッドフォンのイヤーカップ製造に用いているリキッドウッドは、自然の美しさもさることながら、本質的に優れた音響特性があり対応可能な幾何学形態が豊富なことから選ばれました。リキッドウッドは一般的なプラスチックや通常の木材よりも硬く射出成型が可能なため、支持リブを慎重に実装することで硬度を増すことができます。

リキッドウッドは自然な美しさを持つ、音質的に優れた素材です。

また、当社のイヤーカップと内部バッフルの構造的一体性を最適化し、振動をさらに削減しています。


より厄介な振動

当社のイヤーカップ・エンクロージャーは、共鳴モードを除去するよう設計されています。当社のイヤーカップ・エンクロージャーは、ドライバー集合体が搭載されている上部にバッフルがあるという点ではスピーカーのエンクロージャーと似ています。これらのバッフルにはそれぞれに支持リブが付いていて(FEAによる最適化と同様)、多元的内部形態を作り出すためエンクロージャーのリブ内に、互いにかみ合うねじれ型の模様にきれいに並んでいます。

イヤーカップの形の複合曲率とイヤーカップ・エンクロージャーの複雑な内部形態を組み合わせることで、共鳴モードを完全に除去しています。